大崎上島では10月からグリーンレモンの露地栽培の出荷が始まり、12月くらいまでがシーズン。1〜5月はイエローのレモンに替わり、それが貯蔵されて7月くらいまで続く。その後、露地のグリーンレモンが始まる秋までをつなぐのが、ビニールハウス栽培のグリーンレモンだ。こうして年間を通じて供給体制ができていることも広島県のレモンが重宝される理由の一つとなっている。
「もう1棟くらいビニールハウスが手に入れば、一人年間供給体制が整うんですけどね」と太郎さん。レモンが作りたくて作りたくて仕方がない様子。まだ今年は収穫時期に入っていないが、すでに太郎さんの一人反省会は始まっているというから、レモン栽培への真剣さが伝わってくる。
農業に対する真摯な姿勢はGAP(農業生産工程管理)認証を取得(柑橘類)したことにも表れている。GAPとは、農業において、消費者、生産者、環境にとって安全で持続可能な管理体制のもとで生産を進めている農業者に対して、農林水産省が認定を与えるもの。たとえば「このようなリスクが考えられる場合、どのように回避、対処するのか」など、リスクマネジメントの仕組みを農業者が自ら組み立てて、それが審査されるというものだ。
岩﨑農園ではGAPの考え方に賛同し、かつ、2020年に開催されるはずだった東京オリンピック・パラリンピック競技大会の選手村で提供される食事においてGAP認証が条件となったことが、取得への意欲を後押しした。
「東京オリンピックで国産のGAP認証食材を優先して使うというのに、広島県のレモン農家で取得しているところが一つもなかったんです。だからといって、そこで他の産地のレモンが使われるのはおかしいと思って。日本代表となるのは日本一の広島県産じゃないとダメでしょうと。一人で広島レモンの義務感を背負って、一人で取得したんです(笑)」。
水質や残留農薬などは自ら実費をかけて毎年調査している。大変ではあるが、そのおかげで「安全です」と胸を張ることができる。
愛情も真剣さもひとしおのレモン。だからこそ「岩﨑農園のレモンが買いたい」という人に買ってもらえるとうれしいという。
「アホやと思ってもらっていいんですけど、うちのレモンが一番! と思っていますから」と断言する自信作。「とにかく食べてみてほしい。香りも味も全然違います。味は酸っぱいだけじゃなくてまろやかだと言われますね。ほとばしるレモンの爽やかさがたまりません。暑い夏に味わえると思うとテンションが上がりますよ」と亜紀さん。
さらに「見た目にもこだわっていて、どこに持っていっても恥ずかしくないくらい美しいと思っています」とも。見た目は悪くても安全性とおいしさをアピールするものは少なくない。しかし、味も、見た目も、安全性もと三拍子そろうとなると相当ハードルは高い。
その証拠に、一般的に最も良いとされるA品に分類されるレベルでも、岩﨑農園ではB 品に下げることも。B 品でも価格をあまり落とさず販売できる体制が整っているため、躊躇なく厳しい目で選別できるのだ。これが、B品でも評価されるという好循環になっている。
見た目についての自信を熱く語ったところで「今回お届けする品のハードルを自ら上げてしまいましたね」と笑う二人。皆さまのお手元に届いたレモンはいかがだろうか。
ここまでレモンへの情熱を存分に語ってくれた二人だが、今回お届けするブルーベリーも当然、しっかりと愛情と手間ひまかけて大切に育てられているのでご安心を。ブルーベリーの収穫は亜紀さんが担う。手摘みで、一粒一粒、完熟具合を見極めながら摘み取っている。
長年の営業活動が実を結び、今ではビジネスフェアやマルシェ、GAPや応援登録制度などさまざまなきっかけで岩﨑農園に興味を持ってくれる人が増えているが、必ず島に来て畑を見てもらって、しっかり向き合って話をした上で「この人になら!」と思える人とだけお付き合いが始まる。手塩にかけて育てたかわいいわが子を託すのだ。大切なのは、金額や量ではなく「思い」なのだ。
もう一つ、販売時に「岩﨑農園」「大崎上島」の名称を出してもらうこともお願いしている。岩﨑農園の商品が多くの人に伝われば伝わるほど、大崎上島の名前も広まっていく。自分たちだけじゃなく、島を盛り上げる。それが二人のモチベーションの一つでもある。
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